そして、数年の月日が流れた―――。





 コツコツ、と一人の青年――いや、少年が本を脇に抱え、廊下を歩いていた。
 肩を超すくらいの髪を、薄い桜色のリボンでひとまとめにしている。
 目が悪いのか、顔にはメガネ。そして胸元には紅い宝珠のついたペンダントをかけていた。
 と、少年の後姿に気がついた一人の少女が、顔をゆがませてその背後にこっそり近付いていく。
 少年は少女の接近に気がつかない。
 音もなく近づいていく少女は、少年の背中に十分近づくと、一呼吸。

「―――わっ!」
「うわっ!?」

 突然の大声に驚き、少年は持っていた本を落としかけ、こぼれ落ちそうになった本をあわてて胸に掻き込んだ。
 少女はそんな少年のあわてように、けらけらと愉快そうな笑い声をあげる。

「あーっはっはっはっ!」
「………はやて!」
「いあー、ユーノくんてば、気持ちいくらいの驚いてくれるんやもんなぁ」

 興奮冷めやらぬといった風情のはやての顔を見て、驚いたせいで眼鏡のずれたユーノは小さくため息をついた。










 そしてその後の物語










「―――で、最近の調子はどうなん?」
「まあ、それほど切羽詰まった状況というわけではないよ」

 ユーノとはやては、肩をならべながら管理局の廊下を歩いて行く。
 最近は二人とも相応に偉くなってしまったため、こうして話をする機会もあまりなくなってしまったのだ。
 もっとも。

「というか、ちょくちょくさぼりに来るはやてはこっちの状況良く知ってるだろ?」
「いや〜ん。なんのことかしらん?」

 さぼり魔であるはやてには、あまり関係のない話かもしれないが。
 そうして話をしていると、前方からきびきびとした動作で金髪の美麗執務官が歩いてくるのが見えた。

「あ、フェイト?」
「フェイトちゃん、やっほー」
「………ああ、ユーノにはやて。久し振り」

 親しい友人の姿に、嬉しそうな声を上げる二人に対し、フェイトはやや煩わしそうな返答を返した。

「最近の調子はどう?」
「相変わらず忙しいね。叩いても叩いても犯罪者が減る気配はないし」

 ユーノの言葉に、フェイトはため息をつきながら首を横に振った。
 やはり忙しいのだろう。女性らしからぬしぐさでガシガシと頭をかいた。

「まだまとまりきってない案件が、四、五件あるんだ。特に用事がないなら、これでいいかな?」
「え、あ、うん。ごめんね?」
「ちょーっと待った!」

 ユーノが謝り、フェイトが先に進もうとした瞬間、その出鼻をくじくようにはやてが声を上げる。

「―――なに?」

 フェイトは面倒臭そうにはやてのほうに振りかえった。
 はやてはと言えば、フェイトのそんな表情を意にも介さず、ニコーっと笑顔を浮かべた。

「今度の長期連休、ちょっと遊びに行くんやけどフェイトちゃんもどうや?」
「それじゃあね」

 かけられた誘いを断るどころか、なかったことにして別れを告げるフェイト。
 ずんずんと先を急ぐ彼女の道を、その目の前にいた局員たちはあわてて避けた。
 まるで彼女の癇癪を避けるように。

「………フェイトは相変わらずだね」
「せやねー。もうちょっと肩の力抜いていきたらええのに」

 悲しそうなユーノの言葉に、誘いを蹴り飛ばされたはやてはあっけらかんと答える。



 ―――なのはが襲われたあの事件以来、フェイトは異常ともいえる執念で次元犯罪者を摘発するようになった。
 彼女はあの後すぐに執務官試験に合格。それ以降、凶悪事件と呼ばれるような案件を率先して引き受け、その魔力資質を持って力尽くで解決していくようになった。
 そして、その解決を邪魔する者はたとえ同じ局員であっても容赦しない。
 ついたあだ名は「鬼執務官」。局内においては、恐怖の二つ名だ。
 彼女にとって、高町なのはは初めての友人だった。
 きっとこれから先もずっと一緒で、ともに同じ道を歩むことができると信じていたのだろう。
 そこに来ての墜落事件。フェイトは目の前が真っ暗になるような感覚を味わったに違いない。
 ただ、これだけだったらまだよかった。まだ、彼女の支えとなり、彼女を立ち直らせるという仕事があった。
 だが、そこへ追い打ちをかけるかのような暗殺未遂事件。
 なのははこの直後、ユーノへとレイジングハートを返上し、魔導師を引退することとなる。
 このとき彼女がどう考えたのかは、彼女しか知るまい。
 ただ、次元犯罪者に対して憎悪のような感情を抱いたのは確かだ。
 そうでなければ、友人をないがしろにしてまで事件解決には乗り出すまい。
 ……そして、彼女を監督する立場であるハラオウン親子も、彼女のこの変貌に関しては沈黙を通している。
 止められないのか、はたまた止める気がないのか。
 それは、だれにもわからない―――



「でもはやて、長期休暇って? 君、次の休みに指揮官研修が入ってるとか言ってなかったっけ?」
「いやー、その研修先の、あ、陸士108部隊に行くことになってんけどな、その部隊の隊長さんが知り合いでな。しかも私が研修に行く日に、娘さんたちが部隊に遊びに来るいう話やねん」
「へぇ」
「でなー、私ってばほら、結構優秀やん? せやから、部隊長さんが研修しなくていいから、代わりに娘たちのことをよろしく頼むって頼まれてしもうてなー」
「それ、絶対はやてが無理やり奪ったんだよね、その子たちのお世話係」

 楽しそうに予定を話すはやてに、ユーノはあきれたようなまなざしを返す。
 きっと、脅迫や泣き落としなどといった技で研修先の部隊長の娘たちの世話係を横取りしたのだろう。
 ユーノはその横取られた世話係の人と、こんなはやてに娘を世話されることとなった部隊長の二人に対して冥福を祈った。

「というわけで、ユーノくんどうや? 近場に温泉があるらしいんやけど?」
「ごめんね、はやて。僕も予定があるから」

 笑顔で誘ってきたはやてに、同じく笑顔で返すユーノ。
 はやては、今度はめげずにユーノにしなだれかかってきた。

「えー。ええやん、ええやん。仕事の予定なんてキャンセルしてさー。私の代わりにギンガちゃん達のお世話してーなー」
「とことん遊び倒すつもりかよ、君は」

 自分の胸でのの字を書くはやてにため息をついて、ユーノはさっさと手の内を明かすことにする。

「実は、なのはに呼ばれててね。だから予定のキャンセルはできないんだ」
「なんやつまらん。そういうことなら、はよ言わんかい」

 ユーノの言葉を聞いて、はやてはすぐにつまらなさそうにユーノから離れた。
 その行動の素早さと様変わりに、ユーノはあきれるようなおかしいような気持を抱いた。

「君もたいがい、いい性格してるよね」
「世渡り上手なはやてちゃんやからなー」

 はやてはユーノの褒め?言葉に、口に掌を当ててヲホホホーとわざとらしく笑った。



 ―――特別捜査官、八神はやて。
 彼女のことを聞くと、ほとんどの局員たちが口をそろえてこう答える。

「ああ。あの狸捜査官?」

 その風評は、悲しいことに全く否定できないものだった。
 はやては、管理局本局と地上本部、この両方を自由自在に行き来している。
 ただしそれは忙しいからではない。派閥運動などに極力引っかからないようにするためだ。
 ……実はあの事件以来、局内にしばらくよからぬ噂が流れた。
 ――例の事件は、高町なのはの才能を疎ましく思ったものが引き起こしたものだ――という内容だ。
 これに対して過敏に反応したのは、主思いのヴォルケンズ。
 あの高町なのはが狙われたのなら、次は主が狙われるに違いない!と。
 一時期それが原因で、謎の人物による局員狩りが行われたほどだ。
 これに頭を抱えることとなったはやては、なんとかヴォルケンリッターたちの暴走を抑え、なおかつ自分自身が狙われないために、適度に仕事をしつつも適度にさぼる、昼行燈を演じることにしたのだ。
 そのおかげで、地上と海をつなぐ、奇妙な人脈を構築することができた。今のはやてが持つ人脈は、小規模ながら管理局本局の一派閥並だ。
 まあ、その行燈行動のしわ寄せが周囲の人間に振るかかるのはいかがなものかとは思うのだが―――



 そして、そのあとはやてと別れたユーノは、その日最後の仕事を終え、トランスポーターに飛び乗った。
 転送先は、もちろん地球、日本の海鳴市。
 転送先に指定されているハラオウン家に軽く挨拶をし、一目散にとある喫茶店へと向かう。
 その喫茶店とはもちろん。

「こんにちは、なのは!」
「あ! ユーノくん、いらっしゃい!」

 喫茶翠屋だ。

「お。ユーノ、来たわね?」
「こんにちわー、ユーノくん」
「あ、アリサとすずかも来てたんだ」

 一直線になのはのもとへと近づいたユーノは、カウンター席に座っていたアリサとすずかの存在に気が付く。
 だが、そんな“今気がついた”というような態度が、どうやらお嬢様の怒りの琴線に触れてしまったらしい。

「あら? 私たちはついで? なのはのおまけなのかしら、ンン?」
「へっ? いやいや、そんなことは……」
「ユーノくん、ひどいよ……。私たちのこと、眼中にないなんて……」
「ちょ、すずかさん? 決してそんなことは」
「やっぱりあれね。愛しい人以外なんてアウトオブ眼中なのよね」
「女として否定されちゃったんだね、私……。うぅっ!」
「何でそんな方向に!? 誰か助けてー!」
「にゃはは……」

 かしまし娘二人に弄られるユーノ。
 まあ、本人もわかってて弄られているように見える。このあたりは予定調和だろう。
 なのはもそれがわかっているので、苦笑するだけでユーノを助けようとはしなかった。
 一通り楽しく小芝居をして、改めてユーノはカウンター席に着く。

「―――じゃあ、士朗さんもいけるんだ?」
「うん。最近は、具合もいいから、フィリス先生も問題ないって」
「よかった〜」
「そうねー。せっかく家族三人で旅行に行くんだもん。みんなで行きたいわよね」

 ユーノも交え、四人は楽しく旅行の計画を練る。
 次の長期休暇に入った時に行く、家族旅行の話だ。
 高町家、月村家、バニングス家の三家で行くため、結構大がかりである。
 八神家やハラオウン家にも声をかけたが、残念なことに彼らは仕事があるらしい。
 しかし、完全な部外者である自分が一緒についていってもいいものかとユーノは思うのだが、恭也が「何をいまさら」と呟いて、さらに他の全員が一様にうなずいたため、半ば強制参加となった。

「あら、ユーノくん。来てたのね」
「あ、桃子さん」

 そうして話をしていると、厨房の奥から翠屋の主である桃子が顔を出した。

「なのは〜。お母さん、確かデザートの仕込みを頼んでおいた気がするんだけどな〜」
「へ? ……あ! いっけない!」

 なのはは桃子の言葉にはっとなり、あわてて厨房に駆け込んだ。

「なのはちゃんったら」
「相変わらず忘れっぽいというか、どっか間抜けっていうか」

 すずかとアリサが友人の様子に笑い声をあげる。
 そんな娘の様子に苦笑して、桃子はユーノへと向き直る。

「いらっしゃい、ユーノくん」
「こんにちは、桃子さん」

 丁寧にお辞儀を行う二人。
 桃子はユーノの顔を見て、小さくほほ笑んだ。

「いつもいつも、ありがとうね。こんな小さな喫茶店にくてくれて」
「いえ、そんな。僕は、みd「なのは」が好きですから、ってアリサ!」
「何よ、事実でしょ?」

 いきなり変なことを言い出す友人に抗議すると、しれーっとそう言い返された。
 彼女の言う通り名だけに、反論できない。
 桃子はそんなユーノの様子にころころと笑う。

「まあまあユーノくん。私は別にかまわないのよ?」
「いえ、そういうことじゃなくて……」
「そうね。せっかくだから、士朗さんにも会っていってくれないかしら? あの人、ユーノくんに会うのを、結構楽しみにしてるから」
「はあ……」
「いいわね。ついに、なのはがお嫁さんに行く日が来たのかしら」
「うらやましいなぁ、なのはちゃん」
「ちょっとぉ!?」

 何というか、だんだん流されていっている気がする。
 あれよあれよという間に、ユーノは士朗たちの所へコーヒーを差し入れに行くことになった。

「あれぇ?」
「じゃ、お願いね。ユーノくん」
「「武運を祈るー」」
「みんなして何の話をしてるのー!?」

 厨房の奥から不穏な気配を感じ取ったらしいなのはが声を上げる。
 そんな彼女の声を聞いて、翠屋にいたお客さんたちが楽しそうな笑い声をあげた。



 ―――魔導師を引退したなのはは、ごく普通の女の子に戻った。
 友達と一緒に学校に行って、お買い物をして、遊んで。
 ほんの数か月前までは、戦いの場に立っていたとは思えない、ただの少女がそこにいた。
 退院後、やはりリハビリを行わなかったなのはに魔力が戻ることはなく、以降もおそらく魔力が復活することはないだろうと宣言された。
 だが、彼女は落胆しない。
 それだけが、決して自分のすべてではないのだ。
 ユーノは変わらず翠屋に足を運んでくれるし、家族も一緒に暮らしている。
 はやてやフェイトとだって、今までどおり友達でいることができる。
 自分にとって、何が必要で、何をすべきなのか。
 社会の役割としてではなく、一個人として理解することができた今。
 なのはの未来に、陰りはない―――



 ユーノが高町家本邸に向かうと、家の中にはだれもいなかった。
 となれば、と道場のほうに顔を出すと。

「セイッ!」
「ハァァァッ!」

 木と木のぶつかり合う乾いた音共に、威勢のいいかけ声が上がる。
 そっと出入り口から顔をのぞかせれば、美由紀と恭也が小太刀の木刀で稽古をしている真っ最中だった。
 と、不意にこちらのほうに顔を向かせた美由紀と眼があった。

「あ、ユー」
「隙有りっ!」

 美由紀がユーノに呼びかけようとするのと同時に、恭也の木刀がその脳天を捉えた。

「きゃん!?」

 木刀が頭部を叩く激痛に、美由紀は両手の小太刀を取り落とし、そのままうずくまって頭を押さえた。

「修行が足りないぞ、美由紀」
「うぅ〜! だって、いきなりユーノが顔を出すから!」
「ご、ごめんなさい」
「人のせいにするな」

 美由紀の抗議にユーノが謝るのと同時に、恭也が再び木刀をふるう。
 きゃん!?という悲鳴がもう一度上がった。

「恭ちゃん! そんなにパカパカ頭を叩かないでよ! 馬鹿になったらどうするのさ!」
「心配はいらないさ。それ以上なりようがない」
「なんですってぇ!?」

 あまりといえば余りの恭也の言葉に、美由紀は小太刀をもって襲いかかる。
 恭也は飄々とした様子で、襲いかかってくる小太刀を軽く受け流していった。

「いらっしゃい、ユーノくん」
「あ、士朗さん。ご無沙汰してます」

 仲のいい兄妹……いや、師弟の様子に苦笑していると、キィキィと車椅子を動かして、二人の様子を見ていたらしい士朗が近付いてきた。
 頭部の髪はずいぶんと白髪化が進み、顔もすっかり老けこんでしまった。車椅子を動かすために、腕を動かすのもおっくうそうだ。
 だが、その表情に陰りは決して見えない。むしろ、娘の親しい友人が訪ねてきてくれたことを喜んでいた。

「最近は顔を見せてくれなかったから、少しさびしかったんだぞ?」
「すいません。向こうの仕事が立て込んでまして……」
「ははは、そうかい。まあいいさ。せっかくこうして尋ねてくれたんだ。ゆっくりと、話をしようじゃないか」
「はい」

 ユーノは笑って、士朗の後ろに回り込んだ。

「じゃあ、桃子さんからのコーヒー、ここに置いておきますから!」
「ああ。ユーノ、父さんのこと、よろしく頼むぞ」
「はい!」
「ぬがー!」

 ユーノは士朗の車椅子のハンドルを握ると、ちょっとすごい勢いになり始めた兄妹げんかを尻目に、道場の外へと車椅子を動かしていった。



 ―――あの後、無事退院を終えた士朗の体は、シャマルの予想通りの状態となってしまった。
 今でもリハビリを続けてはいるが、再び立って歩くのは絶望的だと、地球にいる専門の医者にも宣言された。
 だが、彼に後悔はない。
 息子や娘たちに、どうしても伝えることのできなかったこと。
 どう伝えればいいか迷っていたことを、伝えることができたのだ。
 その結果として、己の体が限界を迎えてしまったわけだが、これは自分自身の未熟の結果として受け止めている。
 もはや剣を握ることはかなわず、満足に立つこともできない体だが……。
 それでも、高町士朗は幸福であった―――



「士朗さん、聞きましたよ。今度の旅行、OKが出たんだそうですね」
「ああ。いつものヘルパーくんも一緒だけどね」

 道場から家の中へと戻る道すがら、ユーノと士朗は穏やかに会話する。
 まだ若い木々の葉が、季節柄、強くなり始めた日差しを柔らかく受け止めている。

「安心しました。士朗さん一人っきりで、留守番させてるんじゃ、気が引けてとてもじゃないけど、旅行を楽しむ気にはなれませんから」
「別に俺に気を使う必要はないけどな。でも、みんなと一緒に旅行ができるのはうれしいよ」

 縁側につき、ユーノが士朗の体を抱えあげて、縁側の縁に座らせる。
 そして、自分もその隣に座った。

「確か、温泉ですよね? 少し遠いですけど」
「ああ。湯治にもちょうどいいと、先生に言われたよ」
「きっと、みんなは士朗さんの湯治も兼ねて、その場所を選んだんでしょうね」
「かもしれないな。もしそうなら、少し申し訳ないよ」

 穏やかな日差しの下、二人は笑いながら話し続ける。

「それこそ気にする必要ないですよ。だって、きっとみんな好きでやってるんですから」
「もしそうなら、俺は幸せ者だな」

 その様子は、まるで親子のように、楽しげなものであった。



 ―――ユーノは、あの事件から変わることなく、日々を過ごしている。
 変化といえば、胸元にかつての相棒が戻ってきたことくらいだろうか。
 変わらぬ彼の存在は、変わってしまった少女にとって、とても大きな拠り所となった。
 それが縁で、今でも高町家との交流は続いている。
 きっと自分はこの地に骨を埋めることになるんだろうな、とどこか遠くで想いながら。
 ユーノ・スクライアは、今日も穏やかに日々を過ごす―――










 これをもって、少し変わってしまったなのはの物語はおしまいとなる。

 因果は大きく変わってしまったが、変わることなく伝わる想いもある。

 変わらぬ想いが、新たな因果で物語を紡ぐこともあるだろう。

 でも、それはまた別の機会で―――。










―あとがき―
 はい、それではこれにて士朗さんシリーズ終結となります。
 今回はあくまでエピローグとなりますので、本当にその後の物語です。
 数年超えちゃったのも、なのはが魔導師を辞めた後の影響を簡潔に伝えたかったからです。

 フェイトは、ちょっと悪い方向に傾いてしまいました。

 はやては、すこしだけ世の中の流れに逆らって生きているようです。

 なのはは、本当に普通の女の子に戻ったわけです。

 このあと、なのはさんがいないとStsが始まらないわけですが、その時はきっとはやてが主役になるんじゃないかなー、と漠然と思っています。
 管理局の昼行燈が、その裏に潜む闇にのらりくらりと挑戦を挑む。
 これって、なんかかっこよくないっすか?
 さて、それでは以下、ちょっと思いついた士朗さんシリーズのSts時間軸の話。










 ある日やってきた、小さな女の子。

「こんにちは」

 その子が届けたのは、超特大の爆弾だった。

「ユーノパパの娘で、ヴィヴィオ・スクライアっていいます」

 突然現れたユーノの娘を自称する少女、ヴィヴィオ。

「あの〜、ヴィヴィオのお姉さんをして来いって言われた、スバル・ナカジマっていうものなんですけど……」

 それを追うように現れたのは、スバル・ナカジマ。

「どういうことなのユーノくん!?」

 二人の存在に焦るなのは。

「そんなこと言われても!? ちょ、落ち着いて!」

 突然の出来事に、困惑するユーノ。

「八神はやてさんの紹介できました」
「「あいつかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」」

 裏で暗躍するのは豆だぬき。
 はたして、少女の正体は? はやてはなぜ、こちらに彼女を送り込んだのか?
 そんな思惑をよそに。

「あんたがそんなんだったら」
「私たちがユーノくんの彼女に立候補しちゃうよ?」
「それはだめぇぇぇぇぇぇ!?」

 ついに恋の巨星たちが動き出す!?
 ドタバタと騒々しくなる日常!
 遠い世界で起こる世界の危機に、我関せずに過ごす日々の結末は!?

「いや、ほんと、勘弁してください……」

 元・魔法少女リリカルなのはStrikerS Another ―ささやかな日常―

「乞うご期待やでー」
「どこに向かって言ってるのさ、はやて」





 たぶんやりません。



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